「高木勇気(amis amants)」さん | レコーディングを終えたアーティストインタビュー vol.2
—— スタジオエチュード引山店でレコーディングを終えた、高木勇気(amis amants)さん、よろしくお願いします。
高木 よろしくお願いします。
—— まずはレコーディングする時、どんな気持ちだったか教えてください。
高木 そうですねー、僕はまだアーティストとして駆け出しなので、やっぱりまずは緊張ですよね。
—— そうですよね。
高木 レコーディング自体が初めてだったっていうのもあるし、テレビとかで見るような、こう、マイクがドーンと立っていてレコーディングブースに入って、みたいなイメージがあって、なおかつコンディションも整えなくちゃとか、ギターもめっちゃ練習して、そういうのもあってかなり構えてきたのでめちゃくちゃ緊張してましたね。
—— なるほど。
高木 あ、でもドキドキっていうか、楽しみもあって、どちらかというとそっちの方が大きかったかもしれないですね。
—— それはどんなところですか?
高木 やはり自分の作品が一つの形になるっていうのと、そこに向かう作業に憧れてたところもあるし、実はワクワクしてましたね。
—— レコーディングが初めてとのことですが、レコーディングしようと思った時、誰かに相談したりしましたか?
高木 自分のバンドの知り合いで長くやっている方に、費用のこととか、進め方とか、そう、アコースティックギターと歌だけのレコーディングだったので、スタジオに入って弾き語りで録音した方がいいのか、また宅録という選択肢もあったので、そういったところを先輩アーティストに相談しました。
—— そうですよね。今は宅録という選択もありますよね。高木さんはこれまでもご自分で宅録されてきたと思うんですけど、それでもスタジオエチュード引山店で録音してみて、宅録との違いってありますか?
高木 僕自身、宅録の知識があまりなかったっていうのもあるんですけど、一回きちんとレコスタで録ってどうなるのか試したいというのもありましたし、エンジニアさんがついてくれて録れるっていうのがレコスタの一番の強みだと思っていて、そうやって一緒に進めていけるパートナーがいてくれる、それが一番大きかったですね。宅録はちょっとさみしい(笑)
—— そうですよね。宅録は一人きりで録って一人でジャッジしなければならなくて、結局良いか悪いかわからなくなってしまうところがありますからね。
高木 そう!やっぱり客観的な意見や耳が欲しくなるところがあるので、そうなると自分以外の人がいるっていう環境で作業できるっていうところが必要でしたね。
—— なるほど。すごくわかりやすい!
—— その中でレコーディングする前に不安だったところはありましたか?
高木 僕の場合は、技術面ですかね。それが一生残るものになるわけですし、自分の声にもコンプレックスがあって、もちろん練習したりコンディション整えたりしてきましたけど不安でしたね。あと、エンジニアさんがどんな方かもわからなかったし、自分の技術面だけではなく、自分の曲がどう思われるのか、その中でやるっていうのが恐かったですね。
—— 技術面というのはエンジニアさんの技術もありますし、それが自分と合うかどうかというところもありますよね。
—— それで、スタジオエチュード引山店で録音してみてその不安は解決しましたか?
高木 もう正直…..解決、しましたね。(笑)
—— (笑)店長の心臓の音が聞こえました(笑)
高木 レコーディングしてみて自分の技術の至らなさには沢山気づいたところがあって、課題がいっぱいあるなって思って、そこはもっとやらなくちゃって思いましたけど、レコーディングっていうことに関しての恐さや不安は、進めていく中でどんどん無くなっていって、それがだんだんと楽しいに変わって、試行錯誤を繰り返して自分が思う方向にしていくことで、もう楽しいしかなかったですね。
—— 楽しくなってくると今度はどんどんレコーディングしたい気持ちが強くなってきますよね、きっと。
高木 今はそうですね。
—— そんな高木勇気さんの音楽のことをお聞きしたいんですが、まあ、音 聴けばわかるだろ、と思うかもしれませんが(笑)強いて言葉でいうと高木勇気の音楽はどんな音楽ですか?
高木 はい。 いろんな人にどういうジャンルの音楽やってるの?ってよく聞かれて、自分の好きなアーティストとかバンドとか、こういうのリスペクトしてますっていうのは言えるんですけど、なんか、でも自分でもそういうのに寄ってないんだよなって思ってて、それでちょうど先日ライブで人から言われたんですけど、
—— うん。
高木 「いろいろこじらせてる系音楽」って言われたんですよ(笑)
—— (笑)
高木 いやー、確かに!って思ったんですけど(笑)
—— いろいろこじらせてる系(笑)新しい!(笑)
高木 僕、恋愛の歌が多いんですけど、単純な「好き」とか「嫌い」とかじゃなくて、「好き」とか「嫌い」とかめちゃくちゃこじらせた歌だったり、例えば幸せの中にある不幸せを無理やり引っ張り出してきた、みたいな曲を作ってて、なので単純にポジティブ、ネガティブではなく、その中にある逆の感情、人があまり見たくないところをわざわざ引っ張り出して歌ってる、そんな感じですね。
—— 高木さんの音はインタビュー前に聴かせてもらってますが、まさしく今おっしゃった通りだと思います。この表には出てこない裏側の部分、これが面白いんだよなって。僕、今回録音された曲、全部好きです。
高木 ありがとうございます。
—— 他にいないですよね。高木勇気のようなアーティスト。
高木 いやー、嬉しいです。
—— ここまで聞いといてなんなんですが、なぜレコーディングしようと思ったんですか?
高木 そうですねー。すっごいわかりやすく言っちゃうと、売れたいからなんですけど(笑)
—— (笑)わかりやすい!(笑)
高木 僕個人的には、知らない人の知らない曲のライブを観るっていうのは すごく苦手ですよ。
—— はい。
高木 それで、逆に音源やCDを聴いてきたアーティストの生演奏のライブを観るってなると、すごく気持ちが熱くなるんですよ。
—— うんうん。
高木 でもライブって特にバンドとかだと、歌詞が聞き取りにくい時があると思うんですけど、ライブにはライブの良さもあるけど、デメリットもあって、音源にはライブ感はないけどしっかり一音一音、一言一言聞こえるっていう良さがあって、僕の音楽の場合、歌詞がすごく重要で、やっぱりみんなには音源を聞いてもらって、この歌詞どんな意味なんだろうとか、どんな裏があるんだろうとか、考えてもらいながら僕のライブを見て欲しいっていう想いがあって、
—— なるほど。
高木 なのでやっぱり音源がないと、みんなにすべてわかってもらえないことが多いと思うので、僕としては歌詞を聞いてもらいたい、そしてその上でライブに来てもらいたい、またライブに来てもらえたら、歌い方とか表情とか、MCとかそういうのが観れるところがライブのいいところなんで、そういうのを観たらまた、深く意味を知ってもらえたり、自分にあてはめてもらえたり、そのライブのための予習しておいてもらえるいい材料になるんじゃないかと思ってレコーディングしようと決めました。
—— エンジニアさんからレコーディング中に「これどんな意味なの?」と歌詞についていくつか質問したっていう話を聞きまして、だからそれぐらいとても興味深い歌詞でもあるし、だからこそリスナーのみなさんにきちんと伝えたいというのがすごくわかります。
高木 ありがとうございます。
—— ちょうどエンジニアさんの話になりましたが、スタジオエチュード引山店のレコーディングエンジニアはいかがでしたか?
高木 そうですね。いやー、ほんとにいい人ですよ。
—— どんなところが?
高木 レコーディングする前に、いろんなスタジオに電話したりエンジニアさんと話しさせてもらって自分のやりたいこととかを伝えたりして、その中でスタジオエチュード引山店が自分にとって行きやすい場所だったので、電話したその日に見学させてもらいに行って、その見学の時点でエンジニアさんからいろいろと教えてもらって、こういう環境で録りますとか、こういう録り方もありますとか、
—— はい。
高木 そこで初心者ならではの不安な部分をすべてそこで教えてくれたんです。
—— なるほど。
高木 あとエンジニアさんに対してすごくありがたいなって思ったのが、レコーディング中、録音したテイクに対して「今のいいね」とか、ミックスしてる時、編集した音に対しての意見を持ちながらやってくれていたのがすごいありがたくて、
—— 対話してくれていますね。
高木 やっぱり自分の世界に入っちゃうと、まず最初にこうしたいっていう想いがあって、そのうちそれを一回壊したいっていうきっかけがあって、そうなった時にエンジニアさんとは当然考え方も違って、でも違うからこそそういう上で聴いてみようとか、そういうのもありなのかなって思ったりして、だから自分が想っていた音と違った部分もあるけど、それは違うから後悔してるとかじゃなくて、エンジニアさんのアイデアが最初はどうなんだろう、って思って聴いてみたらこれもいいなってそうしたところもあって、
高木 エンジニアさんも仕事だから、まあ、僕らに対してもお客さんの部分もあるから、アーティストがジャッジして良ければそれで終わり、みたいなところがあるんだろうってイメージがあったんですけど、
高木 エンジニアさんと仲良くなって一つのチームみたいなプロジェクトみたいなのって、プロの世界だけだと思ってたんですけど、そういうふうにできたのは、インディーズだからこそ、客観的な意見を持った人がそばにいてくれる状況で録音できたことは、ほんとに大きかったですね。
高木 そこも含めて、もちろん人柄もあってすごい進めやすかった、ほんとにフランクにフランクに接してくれて、自分の言いたいこともちゃんと言えるし、逆にエンジニアさんも言ってくれるんで、深いやり取りの中レコーディングできたんでほんとに良かったですね。
—— この話はエンジニアさんが聴いたらほんとに喜びます(笑)
—— そんなエンジニアさんとのレコーディング中で印象に残った場面を教えてください。
高木 そうですねー。「ふたりの話」っていう曲の録音で、最後のところで「おぉ」っていうフレーズがあるんですけど、そこだけちょっと遠い感じにしたいって要望したんです。それで、いろんなことを試して、結局ミックスブースで普通のゴッパーマイク(SHURE SM58)で録ってみたら、「あ、これだね」ってなって(笑)
高木 それだけじゃないんですけど、録音の仕方で、吸音材のある録音ブースか、吸音材のない部屋で録るか、これも最初に試させてくれて、音も聴いてみて、やっぱこっちだねってなって、それでもう一回マイクとか全部移動してもらったりとか、そういうのに付き合ってくれたことがすごく嬉しかったですね。
高木 試行錯誤してる最中も、提案もしてくれて、それを全部試させてくれて、それで全部聴いた上でこのやり方でいこうって、それって僕だけじゃできなかったことで、それが楽しくてしょうがなかった、印象に残ったところですね。
—— 試さないとわからないことばかりですもんね。それを一緒に試してくれるエンジニアさんの存在が印象に残ったと言ったところでしょうか。
—— そんな中で出来上がった作品の仕上がりはどうでしたか?
高木 もう、バッチリ!(笑)
—— (笑)
高木 もう、何回も何回もミックスしてもらって、マスタリングまで終えたのに、もう一回やり直したり、細かなところまでこだわって、やっぱり気になるなーってところがあって、でもエンジニアさんに言いにくいなって思ったけど、結局もう一回やり直して、最高のものができましたね。
—— お話伺ってきた中で、スタジオエチュード引山店、とても好印象だと思いますけど、逆に悪かったところはありますか?
高木 悪かったところ、マジでないんですけど、
—— 遠慮なく言ってください!
高木 強いて言うなら、喫煙者として、RECブースでタバコ吸いたかったですかね(笑)
—— スタジオエチュード引山店は禁煙となっておりまして、外の喫煙スペースでしか吸えないんです。
高木 まあ強いていうことでもなかったですね(笑)
高木 あとは、エンジニアさんがちょいちょいおっちょこちょいだったところがかわいかったですね(笑)
—— (笑)
高木 ていうか悪かったところっていうか、親近感湧きました(笑)この人普通の人なんだって(笑)
—— (笑)
高木 だから悪いところって思い付かないですね。
—— レコーディング中に起こった想定外だったことはありましたか?
高木 最初に好きなアーティストの弾き語り音源を持ち込んで、エンジニアさんに「こういう音にしてほしい」とお願いして、ワクワクして、そういう音にしてもらってミックスまでしてもらったんですけど、
—— はい。
高木 全然違う!ってなってしまって、
—— ありゃ。
高木 その自分の希望通りにしてもらった音源聴いた時「俺ってこんなもんなんや」ってなって、すっげー自信無くして、
高木 ただ、それを正直にエンジニアさんに話して、また試行錯誤して、全然違うものになったんですけど、「これだ!俺が目指してたのはこれだ!」って。
高木 俺のギターや声に合う音はこれなんだなって、自分の音楽に合う音を見つけられた瞬間でした。
—— あー、なるほどね。
高木 だから、他人の音に合わせる必要もないんだって思って、ちょっとその時はびっくりしましたね。
高木 自分が目指してる人がいて、その人に近づきたいって思ってたんですけど、そういうことじゃないんだなって。まあ憧れはありつつも自分の音楽に関しては自分の音を見つけてやっていくってことが重要だったんだなって気付けて。
—— 素晴らしい!
高木 試行錯誤の時間は、はじめは無駄だったんじゃないかって思ってたんですけど、その時間があったからこそ見つけられた自分の音なんですよね。だからいい意味での想定外でしたね。
—— 確かにそうですね。
—— やはり人それぞれ表現したいことが違うから、自分しかないですよね、自分の音楽は。それがオリジナリティだと思います。
—— さて、最後の質問なんですが、今後スタジオエチュード引山店でレコーディングしたいと思いますか?
高木 もちろん!(食い気味)
—— それはなぜですか?
高木 スタジオエチュード引山店でっていうのもありますけど、やっぱり、今回のエンジニアさんとやっていきたいですね!
—— 伝えておきます!(笑)
—— 今日は本当にありがとうございました。
高木 ありがとうございました。
遠慮なく歌い上げるシンガーソングライター
5.アミスアマンツ
https://twitter.com/y_guitar_m
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